字形の側面に陰を伴うレタリング文字の感性的評価

井ノ上 寛人  佐藤 美恵  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J99-D   No.4   pp.452-460
発行日: 2016/04/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2015JDP7073
論文種別: 論文
専門分野: 感性情報処理
キーワード: 
感性工学,  レタリング,  タイポグラフィ,  デザイン,  遠近法,  奥行知覚,  

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あらまし: 
視覚的効果や感性的印象を考慮して文字をデザインすることをレタリングなどという.本研究は,レタリングの技法のうち,3次元立体として描いた字形の側面に陰を加える表現に着目し,陰を加えたレタリング文字がどのような観点から評価されるのか,また,陰を加える上で操作されるデザイン要素がそれぞれどのような視覚的効果や感性的印象を与えるか,という2点の解明を目的とした.主観評価実験の結果,陰を加えたレタリング文字は,機能性,芸術表現性,空間表現性,量感表現性の四つの観点から評価されることが明らかとなった.この評価モデルにおいて,陰という空間表現は,主に量感表現性と芸術表現性に作用し,機能美に関わる空間表現の場合は,芸術表現性と機能性が相関する.具体的には,陰を伴う側面を透視投影で構成し,奥に長く表現したデザインは芸術的で面白い印象を与え,陰を伴う側面を平行投影で構成し,奥に短く表現したデザインは機能的で美しい印象を与える,といったことが明らかとなった.これらの奥行表現は,筆画が肉太なフォントと相性が良く,フォントがもつ元々の印象を更に高め得る.