ネットワーク中立性と品質情報開示――経済学的観点からの分析――

実積 寿也  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J98-B   No.10   pp.1030-1037
発行日: 2015/10/01
Online ISSN: 1881-0209
DOI: 
論文種別: 招待論文 (理論・実践に立脚したインターネットアーキテクチャ論文特集)
専門分野: 
キーワード: 
ネットワーク中立性,  ブロードバンド,  QoS,  ベストエフォート,  二面市場,  競争政策,  

本文: FreePDF(2MB)


あらまし: 
ネットワーク中立性問題の本質は,トラヒックの爆発的な増加によってネットワーク容量の希少性が顕在化したことに由来する資源配分問題である.本問題の解決にあたっては市場メカニズムの力を十分に発揮させた上で,いわゆる「市場の失敗」が見出された箇所に対して最小限の政策介入を行うというアプローチが望ましい.ブロードバンド市場における市場ダイナミズムの発揮が「市場の失敗」をもたらす原因の一つにベストエフォート品質の存在があり,それによって引き起こされる情報の非対称性はプロバイダの投資インセンティブや利用者の購買意欲を過少にとどめ,市場の効率性を阻害する.回線の実効品質等を適切に開示し,関係者間で当該情報を共有し,実効品質をめぐるリテラシーの改善を図るメカニズムの導入が必須である.