三項関係の心的状況表現による幼児の社会的問題解決思考の発達分析

石川 翔吾  高林 竜一  桐山 伸也  北澤 茂良  竹林 洋一  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J94-A   No.12   pp.1025-1037
発行日: 2011/12/01
Online ISSN: 1881-0195
DOI: 
Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: 人工知能
キーワード: 
社会的発達モデル,  マルチモーダル音声行動コーパス,  三項関係,  問題解決,  いざこざ,  

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あらまし: 
人間とコミュニケーションするシステムの実現には,環境に応じて柔軟な問題解決を行うための社会的思考のモデル化が必要である.幼児は思考が行動に現れやすく,発達段階における思考と行動の関係が観察できるため,思考モデル構築の格好の観察対象である.特にいざこざは柔軟な問題解決思考を発達させ,社会性を獲得する重要な状況である.そこで筆者らは,幼児の社会的問題解決の発達をモデル化するため,(1)いざこざの場面における幼児の自発的な行動を内面に踏み込んで表現したマルチモーダル音声行動コーパスを構築し,(2)社会的問題解決プロセスの発達を体系立てる,幼児の発達分析手法を提案する.本手法は外面的特徴をもとに内面的特徴を段階的に蓄積し,仮説の生成から検証までの一連のプロセスを支援する.コーパスに基づく分析の結果,自身のゴールを優先した行動から,他者の状況を考慮しながら自分のゴールを達成する複雑な問題解決に発達する問題解決発達モデルを導いた.提案手法は,社会性という一見して分からない複雑な心的状況を表現し,幼児の個性に踏み込んだ発達過程の可視化に有効であることが明らかになった.