メモリベースパーティクルフィルタ:状態履歴に基づく事前分布予測を用いた頑健な対象追跡

三上 弾  大塚 和弘  大和 淳司  
(第12回画像の認識・理解シンポジウム推薦論文)

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J93-D   No.8   pp.1313-1328
発行日: 2010/08/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 
Print ISSN: 1880-4535
論文種別: 特集論文 (画像の認識・理解論文特集)
専門分野: 画像映像解析
キーワード: 
パーティクルフィルタ,  メモリベース,  複雑ダイナミックス,  追跡,  顔姿勢,  

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あらまし: 
複雑なダイナミックスをもつ対象の追跡を可能にする新しいパーティクルフィルタとして,メモリベースパーティクルフィルタ(Memory-based Particle Filter:M-PF)を提案する.M-PFは,急激な動きに対する頑健性と,遮へいなどにより追跡対象を見失った場合の迅速な追跡再開を目標とし,従来のパーティクルフィルタ(Particle Filter:PF)で前提としていた対象のダイナミックスのマルコフ性の制約を取り払い,過去の長期のダイナミックスに基づいて対象状態の事前分布を生成する点に特徴がある.具体的にはM-PFは,過去に現れた対象の状態を履歴として保持し,過去の状態が再度出現する確率をモデル化し,これを用いて履歴からのランダムサンプリングにより未来の状態の事前分布を生成する.この方法により,非線形・非定常・非マルコフ性のダイナミックスをもつ対象の運動にも対処できる.本論文では,M-PFを用いた顔姿勢追跡を実装し,顔の急激な動きに頑健に追従し,オクルージョンなどにより顔を見失った場合にも,確実かつ迅速に顔を再発見することを確認する.定量評価により顔姿勢推定精度及び追跡失敗からの復帰性能の向上を確認した.M-PFは顔だけでなく複雑なダイナミックスをもつ対象の頑健な追跡が期待できる.