音声系列の規則獲得における統計学習の影響

早坂 美樹  渡部 修  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J92-D   No.10   pp.1793-1801
発行日: 2009/10/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 
Print ISSN: 1880-4535
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
言語獲得,  時系列パターン,  文法,  ニューラルネットワーク,  エルマンネット,  

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あらまし: 
新生児が母語を獲得する際,まず連続した未知の音声列を単語ごとに分節化し,更にこれらの単語を結合する文法規則を抽出しなければならない.言語獲得においては,音声的な情報(抑揚など)が大きな手掛りとなるが,これだけではない.言語においては,音節や単語はランダムに並んでいるのではなく,規則的な構造をもった時系列パターンを構成している.このため,音声系列の統計的情報(音節や単語の遷移確率)も,単語の分節化(時系列パターンのセグメンテーション)や文法の識別(単語間の結合規則の抽出)の手掛りになり得る.しかし,Peñaら(2002)は,単語の分節化には統計的情報が用いられるが,文法のような非隣接音節間の規則獲得には寄与しないことを心理学的な実験から示唆している.本研究では,エルマンネットによる計算機シミュレーション及び心理実験により,Penaらの知見が統計学習の枠組みで説明できることを示す.この結果は,非隣接音節間の規則獲得においても,統計的情報の寄与を否定できないことを示唆する.