クロスレイヤアーキテクチャに基づくハンドオーバ時のTCPのふくそう制御手法

韓 閏燮  寺岡 文男  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J91-B   No.10   pp.1171-1181
発行日: 2008/10/01
Online ISSN: 1881-0209
DOI: 
Print ISSN: 1344-4697
論文種別: 特集論文 (ネクストジェネレーションに向けたインターネットアーキテクチャ論文特集)
専門分野: ワイヤレス・モバイル・センサーネットワーク
キーワード: 
高速ハンドオーバ,  ふくそう制御,  無線TCP,  モバイルコンピューティング,  無線ネットワーク,  

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あらまし: 
無線通信環境におけるTCP通信において移動ノードがハンドオーバすると,通信再開の遅延,スループットの低下という問題が生じる.前者は,ハンドオーバ中にパケットロスが発生するとハンドオーバが終了しても再送タイマがタイムアウトするまで送信が再開されないためである.後者は,ハンドオーバ中のパケットロスによりハンドオーバ後はスロースタートで通信を再開するためである.一方,ハンドオーバを考慮したTCPの既存研究では,ハンドオーバ前のふくそうウィンドウの値をハンドオーバ後もそのまま使用しているが,このような方式では既に存在しているTCPフローとの公平性に問題がある.本研究は,クロスレイヤアーキテクチャによりハンドオーバ終了を下位層からTCPに通知することで通信再開の遅延の問題を解決する.また,ハンドオーバ前にハンドオーバ後の有効帯域を推定することにより,既に存在している他のTCPフローに悪影響を及ぼさない範囲で,ハンドオーバ後の通信を効率良く再開する.提案手法をFreeBSDに実装して評価した結果,通信再開時間は従来の値を93%削減して0.1秒になり,スループットは最大4.9倍向上した.またシミュレーションにより評価した結果,提案方式が既に存在しているTCPフローに与える影響は小さく,公平性についても問題ないことが示された.