児童の語彙特性を考慮した漢字説明表現の開発とその評価―視覚障害者用スクリーンリーダの詳細読みの改良―

渡辺 哲也  大杉 成喜  山口 俊光  渡辺 文治  岡田 伸一  澤田 真弓  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J90-D   No.6   pp.1521-1531
発行日: 2007/06/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 
Print ISSN: 1880-4535
論文種別: 論文
専門分野: 福祉工学
キーワード: 
漢字,  語彙,  単語親密度,  視覚障害者,  スクリーンリーダ,  

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あらまし: 
視覚障害者のコンピュータ利用を支援するスクリーンリーダには,漢字を音声で説明する表現「詳細読み」がある.我々は,これを視覚障害児に適用する際に生じ得る問題について検討している.これまでに,小学校児童を対象とした漢字想起実験の結果から,語彙範ちゅう外の単語を使うことが,もとの漢字の想起を妨げる最大要因であることを明らかにしてきた.児童の語彙範ちゅうから単語を選ぶには,適切な語彙集を選ぶことに加え,児童語彙の学年ごとの相違を考慮する必要があると予測される.そこで学習基本語彙に対する児童の単語親密度調査を行った.その結果,教科書初出学年により単語親密度の分散は有意に異なり,高い親密度をもつ単語の割合は初出学年が低い単語群ほど高く,初出学年が上がるにつれてその割合が下がることを確認した.これらの知見をもとに,児童にも理解しやすい詳細読みの基準を整理し,この基準に基づいて新たな詳細読みを作成した.その評価のため児童を対象とした漢字想起実験を行ったところ,スクリーンリーダ製品の詳細読みを使った実験より約12.3%高い正答率となり,作成基準の有効性を示すことができた.