網膜ON型双極細胞の光応答に伴う多相性伝達物質放出に関する シミュレーション解析

河北 友克  石原 彰人  立花 政夫  臼井 支朗  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J90-D   No.1   pp.126-137
発行日: 2007/01/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 
Print ISSN: 1880-4535
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
網膜双極細胞,  シナプス終末,  伝達物質放出,  数理モデル,  

本文: PDF(1.3MB)>>
論文を購入




あらまし: 
網膜双極細胞は光刺激に対して緩電位応答し,膜電位依存性に伝達物質(グルタミン酸)を放出する.本論文では,ON型双極細胞のシナプス前終末における伝達物質放出機構に関する複数の生理学的知見を数理モデルに統合した.伝達物質放出の早い成分と遅い成分の供給源を並列に配置した本モデルは伝達物質放出の膜電位及び細胞内Ca2+ 濃度依存性を忠実に再現することができた.また,伝達物質の早い放出成分は台形型膜電位依存性を示すのに対して,遅い放出成分はベル型膜電位依存性を示すため,細胞内のCa2+ 濃度上昇をCa2+ 緩衝剤で抑制すると遅い放出成分が減少して伝達物質放出の膜電位依存性が台形型の特性になることが分かった.更に,ON型双極細胞の光応答の一過性成分と持続性成分によって引き起こされる伝達物質放出をシミュレートした結果,光応答の立上りは伝達物質の早い放出を引き起こし,光応答の一過性成分と初期持続性成分は遅い放出を引き起こすことが分かった.また,光応答の後期持続性成分は貯蔵プールから補充されたシナプス小胞によって持続的な放出が可能になるためであることが分かった.