情報分離による複雑型細胞受容野の自己組織的形成モデル

伊達 章  倉田 耕治  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J88-D2   No.2   pp.211-217
発行日: 2005/02/01
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Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 特集論文 (情報論的学習理論論文小特集)
専門分野: 
キーワード: 
反ヘブ学習,  自己組織化マップ,  神経科学,  非線形主成分分析,  

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あらまし: 
物体の向き,位置,大きさなどによらない不変な認識が脳内でどのように実現されているかは不明な点が多い.大脳の視覚一次野(V1)には,網膜に投影された像のある程度の大きさの領域内であればどの場所に線分が提示されても反応する複雑型細胞と呼ばれる細胞があり,物体の見え方に不変な認識に重要な役割を担っていると考えられている.この複雑型細胞がもつ性質は,神経活動の時間的持続性を利用したヘブ学習(トレース学習)により説明されてきた.本論文では,従来のモデルで示された結果と同等な性質を,トレース学習なしに実現できるモデルを提案する.本モデルは,外側漆状核(LGN)と視覚一次野の単純型細胞及び複雑型細胞の神経活動をそれぞれモデル化したE層,S層及びC層からなり,C層の各素子がE層とS層から入力を受け学習により選択性を獲得する.学習アルゴリズムとして,E層とC層の間には反ヘブ学習,S層とC層間には自己組織マップ(SOM)型のヘブ学習を用いた.このモデルを使い,複雑型細胞のもつ位置不変な選択性が獲得できることを計算機実験により確認した.最後に,本モデルの特徴を情報分離技術の観点から述べる.