E[ep(n)] を評価関数とする多重適応ノッチフィルタ

小林 正樹  長坂 保典  伊藤 良生  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J86-A   No.9   pp.929-935
発行日: 2003/09/01
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: ディジタル信号処理
キーワード: 
ノッチフィルタ,  評価関数,  収束特性,  定常特性,  全域通過フィルタ,  

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あらまし: 
推定誤差の p 乗平均 E[ep(n)] を評価関数とする多重適応ノッチフィルタを提案する.適応フィルタの構成は,全域通過フィルタよりなる二次適応ノッチフィルタの縦続構成である.一般にノッチフィルタの除去帯域幅は実用的な観点からは小さいことが望ましい.しかし除去帯域幅を小さく設定するに従い,適応フィルタのタップ係数の収束速度が著しく遅くなるという問題がある.また収束理論の観点からも,二次全域通過フィルタの極の半径が1近傍,すなわち除去帯域幅が極めて小さいという条件が必要であり,実用,理論の面から収束速度が犠牲にならざるをえない.本論文では,ノッチフィルタの除去帯域幅は小さく設定しておき,適応アルゴリズム中で用いる評価関数のタップベクトルに関するこう配を,等価的に除去帯域幅が比較的大きい場合と同等にすることが可能な多重適応ノッチフィルタについて考察している.これにより高収束特性を有する多重適応ノッチフィルタの実現が可能となる.ノッチフィルタの伝達関数の絶対値は除去周波数近傍においては0に近く,それ以外の周波数においては1に近いという特別な性質を有している.したがって,絶対値のべきを大きく設定することにより除去帯域幅は大となり,除去周波数近傍における滑らかさは増加する.E[ep(n)] を評価関数とするこう配アルゴリズムによりこの性質を利用することができ,優れた収束速度と定常特性が得られる.最後に検討結果の検証と従来方式との比較を計算機シミュレーションにより行う.