立体視過程の時間推移―遅延性誘発電位と図地分離過程―

宮脇 陽一  林 隆介  前田 太郎     

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J85-D2   No.2   pp.337-350
発行日: 2002/02/01
Online ISSN: 
DOI: 
Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: 医用工学
キーワード: 
立体視,  視覚誘発電位,  2峰性波,  図地分離,  面積比,  

本文: PDF(1.3MB)>>
論文を購入




あらまし: 
ヒト立体視過程の時間推移の明確化を目指し,視覚誘発電位計測に着目した.立体視時の誘発電位は,潜時約200 ms前後に出現する単一成分として扱われてきたが,実は性質の異なる2成分からなることがごく近年明らかになった.本論文は,この2峰性反応における後期潜時帯と図地分離過程との関連を検討するものである.図地分離刺激としての特性は,Random-Dot Stereogramで両眼視差を付加した単一矩形領域(図)の背景(地)に対する面積比で定義し制御した.その結果,逐次的に発生する二つの陰性成分をとらえることに成功した.そのうち,潜時約150 ms前後の初期成分は,刺激絶対量に依存して反応が増加し,背景との面積比には依存しなかった.一方,潜時約250 ms前後の第2成分は,図の領域が狭小な場合は強い反応を示したが,刺激面積が増加するにつれて減少し,刺激全体が均一となる条件では消失してしまった.この反応傾向は,図の領域を定義する局所手掛りの種類によらず確認された.これらの結果は,第2成分が図地分離過程に高い相関をもつことを示すと同時に,両眼融像に掛かる潜時帯が第2成分発現以前であることを示唆するものである.また,第2成分の相対遅延時間,並びに局所手掛り非依存の連続的反応変調の両観点から,2峰性反応発現の背後に潜む神経機構に関して検討した.