遺伝的プログラミングを用いたCNNによる拡散モデルの近似とその同期化への応用

矢加部 正幸  時永 祥三  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J85-A   No.5   pp.548-559
発行日: 2002/05/01
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: 非線形問題
キーワード: 
CNN,  遺伝的プログラミング,  拡散モデル,  同期化,  フィードバック制御,  

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あらまし: 
ネットワーク構造をしたニューロン結合によりシステム挙動を記述する方法としてCNN(Cellular Neural Network)が提案されており,経済社会における決済リスク拡散などの分析に有効である.しかし,一般には,観測されたデータからシステムのダイナミックスを推定することによって,初めて拡散の分析などが可能となる.本論文では,遺伝的アルゴリズム(GP:Genetic Programming)の手法を用いて,CNNにおけるダイナミックスを推定する方法を提案し,これに基づいて信号の拡散を議論し,伝搬を制御する方法について提案する.CNNにおけるシステム方程式をGPにより近似するために,初等演算のほかに区分線形などの関数を準備し,これらと変数を含む木構造によりにGPおける個体を定義する.GPにおいては適合度の大きい二つの個体を選択し,適切に定めた位置で個体の交差処理を行い,より関数近似能力の高い個体を生成していく.このような方法により,カオス的特性を示すCNNのシステム方程式を含めて近似を行うことができることを示す.次に,推定されたシステム方程式を用いて,CNNにおける信号の伝搬の条件を推定する方法を適用し,実際にシミュレーションにより求めた結果と比較して,計算式の妥当性を検討する.これにより,ネットワーク上の信号の伝搬が中断するための拡散係数を推定できる.更に,システム方程式が求められていることを利用してセルの状態を不動点やリミットサイクルへと収束させる同期化の制御方法を提案する.この方法では,ダイナミックスの推定結果を用いることによりフィードバック制御における適切な制御入力を推定でき,より短い時間で均衡レベルに制御することができる.