視覚誘発電位計測に基づく両眼視覚情報処理過程の解析

林 隆介  宮脇 陽一  前田 太郎     

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J84-D2   No.3   pp.559-570
発行日: 2001/03/01
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DOI: 
Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
両眼立体視,  両眼競合,  両眼非対応領域,  random-dot stereogram,  視覚誘発電位,  

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あらまし: 
両眼立体視過程の解明を目的として,random-dot stereogram(以下RDS)提示時の視覚誘発電位(visual evoked potential,以下VEP)を計測した.本研究では刺激提示位置,視差量,両眼画像間の相関の三つを実験パラメータとして,VEPの反応潜時の変化に注目した解析を行い,両眼立体視過程と両眼競合過程との関係を探った.RDS提示時のVEP波形は大きく三つの成分に分けられる.第1成分は後頭部に局在して見られる初期視覚反応であることから,局所的な視差検出処理を反映していると考えられる.一方,第2,第3成分は後頭部からより前頭部領域に広がる中~長潜時の反応で提示位置,視差量に依存して潜時が大きく変化した.潜時は周辺視野より中心視野に提示した方が短く,非交差視差より交差視差の方が短かった.こうした潜時差は提示位置や視差間の処理機構の差を反映していると考えられる.更に両眼間でコントラストが反転したRDS(anti-RDS)を用いた実験では非交差視差より交差視差の方が潜時が長くなり,RDSの場合と逆転した.この現象はV1の視差選択性ニューロンの応答特性によって説明できることから,両眼立体視と両眼競合は共に局所的な視差検出機構を神経基盤としていることが示唆された.そして視差選択性ニューロンの応答を両眼エネルギーモデルでシミュレートして二つの両眼視処理の違いを検討し,両眼間の非対応を検出する機構を提案した.