火山地域におけるGPS測位に及ぼす局地的な水蒸気変動の影響について

呉 新華  田中 穣  松島 健  荒生 公雄  大石 哲  小司 禎教  島田 誠一  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J84-B    No.12    pp.2149-2159
発行日: 2001/12/01
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Print ISSN: 1344-4697
論文種別: 特集論文 (GPS論文小特集)
専門分野: 精度・機能の改善
キーワード: 
GPS,  ラジオゾンデ,  RHIレーダ,  水蒸気,  大気遅延,  可降水量,  

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あらまし: 
大気中の水蒸気はGPS観測における最大の誤差要因の一つであり,特に高度差のある火山地域の地殻変動の精密測位に見掛けの変形ひずみを引き起こす.このため,当該地域においてGPS測位の精度を向上させるには,水蒸気の時空間分布を正確に把握することが重要である.一方,GPS解析に地上気温,気圧,湿度など気象値を援用することで水蒸気の鉛直積分である可降水量を得ることができる.更に,高度別のGPS連続稠密観測から水蒸気の時空間的な変動を把握することも可能である.本論文では,1998年の梅雨期に長崎で実施したGPSと気象の稠密観測(GPS/MET稠密観測)の結果を用いて,水蒸気の変動が測位結果に及ぼす影響を調べ,高度別GPS可降水量の連続的な時間変動の揺らぎを検出するとともに,観測期間中における降雨量,ラジオゾンデによる可降水量,RHIレーダで観測された降雨エコーなどの気象観測結果と比較し,これらの関連を分析した.その結果,異なる観測から得られた水蒸気の変動実態は互いによく一致しており,GPSにより推定される可降水量は高精度,高時間分解能を有することがわかった.大気水蒸気を高度別GPS稠密連続観測により4次元的に考察することで,その分布,変化の予測が可能になると期待される.