グリセリンを主剤とするSAR評価用ファントムの開発とその応用

岡野 好伸  伊藤 公一  河井 寛記  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J83-B   No.4   pp.534-543
発行日: 2000/04/25
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Print ISSN: 1344-4697
論文種別: 論文
専門分野: 環境電磁・EMC
キーワード: 
グリセリンファントム,  SAR,  放射率,  サーモグラフィ法,  FDTD法,  

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あらまし: 
近年,携帯通信機等人体近傍で電磁波を発生させる機器が急速な普及を見せるとともに,電磁波が生体に与える影響に注目が寄せられるようになった.そこで本論文では,電気的特性が生体と等価な,電磁波曝露実験用の疑似生体,いわゆるファントムとして新たにグリセリンを主剤とした外殻を必要としない,自立形状保持の可能なファントムを開発,その有用性について検討を行った.その結果,本グリセリンファントムは塩化ナトリウムや水の添加比率により,高含水組織(筋肉,脳組織など)のみならず低含水組織(脂肪,骨組織など)に至るまで,多岐にわたる生体組織を模擬可能であることを確認した.また,電気定数の経日変化が従来の水を主剤とするファントムに比べて改善されることも確認した.更に,筋肉や皮膚,脂肪等のファントムを実際に試作し,ファントム内のサーモグラフィ法によるSAR測定値とFDTD法によるSAR計算値を比較し,本グリセリンファントムが複雑な媒質構造を有する生体部位,あるいは実験用小動物等の小体積の生体を模擬するファントムとして有用性が高いことを示した.