初期視覚における方位選択性の情報理論的必要性

横田 康成  増田 康彦  村上 智  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J82-D2   No.11   pp.2092-2100
発行日: 1999/11/25
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DOI: 
Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
初期視覚,  方位選択性,  非正規性,  画像符号化,  伝送情報量,  

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あらまし: 
ヒト,サルなどの初期視覚では, 多重解像度, 及び方位選択を基本とする情報処理を行っていると考えられている. これまで, 視覚系がこうした処理様式を戦略的に獲得してきたことに 対する理由の説明が試みられ, その自己組織化の可能性が検討されてきた. しかし, 視覚系の情報処理機構を理解する上で重要と思われる 視覚刺激の統計的性質については, それが非正規であることは理解されているものの, それがどのように非正規に分布しているのかについては, これまで深く追求されることは少なかった. また, 初期視覚における情報処理様式が画像符号化に応用可能であることは かねてより示唆されてきたものの, 具体的に有効な手法としては確立されてはいない. 本論文では, 視覚刺激をベクトル量子化法によりクラスタリングした後, 各クラスごとにKL変換し伝送する符号化モデルを提案した. 視覚刺激の伝送情報量を最小化するように本モデルで学習した場合, 方位選択性をもつ処理系が自己組織化されており, 視覚刺激の伝送情報量を最小化するためには 方位選択が必要であることが示された. また, こうした自己組織化は, 視覚刺激には方向性をもつ成分が多次元正規分布で表現される 確率以上の確率で含まれていることが要因であることが示された. 更に, 本符号化モデルにおいて, KL変換の代わりにDCTを用いた場合においても, 等しいひずみを与える条件下で約0.4 [bit/pixel]のレート削減が 実現されており, 実用的な画像符号化法としての利用も可能であることが示された.