焦点調節動特性を考慮した時空間視覚モデルによる反応時間特性の理論的再現

松井 利一  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J80-A   No.11   pp.2017-2026
発行日: 1997/11/25
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: ヒューマン情報処理
キーワード: 
時空間視覚モデル,  焦点調節動特性,  瞬間提示画像,  知覚時間,  反応時間,  

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あらまし: 
視覚系の基本現象(ぼけと視野の相互依存作用)を土台とし,これに網膜神経節細胞から脳に至る二つの画像処理経路(XとYチャネル)の時空間周波数特性を組み合わせることにより,静止画像だけでなく動画像(フリッカー,ドリフト,瞬間提示画像)に対する視知覚応答特性も理論的に再現可能な時空間視覚モデルが定式化されている.しかし,この時空間視覚モデルは画像切替り時の時間応答特性に不連続点が発生する問題があった.本論文では,時空間視覚モデルの汎用性,適用可能性を更に高めるために,視覚系焦点調節機構の動特性(遷移特性と最大遷移速度)を従来モデルに組み込むことで,時間応答特性の不連続点の問題が解決できる,より汎用的な非定常時空間視覚モデルの定式化を行う.そして,本モデルの汎用性,適用可能性の拡大を示す一例として,反応時間(=知覚時間+知覚後スイッチを押すまでの時間)の空間周波数依存特性が本モデルから理論的に導出でき(従来モデルでは不可能),実測結果ともよく一致することを示す.この結果は,反応時間特性の生じる原因として,従来の考え方とは異なる別の要因(焦点調節機構の動特性)が関係している可能性を新たに提起している.