部分整合領域の自動学習による手書き文字の詳細識別に関する一手法

孫 寧  安倍 正人  根元 義章  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J78-D2   No.3   pp.492-500
発行日: 1995/03/25
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Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: 画像・パターン処理
キーワード: 
手書き文字認識,  詳細識別,  部分整合領域,  自動学習,  データベースETL9B,  

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あらまし: 
人間が類似文字を常に正しく認識できる要因の一つとして文字の部分的な情報を有効に利用している点が挙げられる.例えば,類似文字「冶」と「治」との区別は二つの文字の偏の部分の違いを見分けることによって正しく行われると考えられる.このような認識方法を利用し,従来では部分領域での整合を行う二つの手法が提案されている.一つは人間があらかじめ経験により,類似文字のグルーピング化を行い,それぞれのグループに対し試行錯誤的に有効な識別領域を設定・修正し認識に利用する手法である.もう一つは上位候補間の距離比を利用し,定めたしきい値を超えたものに対し上位数候補間で特徴ベクトルの差の大きい成分だけを抽出し,再度距離計算を行う手法である.しかし,この二つの方法は手書き認識において,確実に有効な識別領域(ベクトル)を抽出できず,利用するには限界がある.そこで,本研究では,類似文字のような誤認識が起きやすい文字に対し,認識が正しく行われるための最も信頼性の高い部分整合領域を学習によって自動的に選択し,認識に利用する高精度な部分整合領域の自動学習による詳細識別手法を提案する.具体的には本手法はあらかじめ複数個の部分整合領域を用意し,文字ごとに最も高い認識精度が得られる部分整合領域を学習によって自動的に決定し,そして少数候補の細部を見分ける詳細識別においてこれを利用している.本手法の特徴として,詳細識別における適用対象文字の決定および対象文字それぞれに対する部分整合領域の選択が自動化されている点と,有効な部分整合領域の選択が従来の手法より正確にできる点が挙げられる.文献(1)から類似文字間で誤認識が多発している100字種を選択し実施した認識実験の結果,平均4.53%の改善が見られ,平均1位認識率が88.68%から93.21%に上昇した.このことから,提案法は手書き類似文字の詳細識別に関する一手法として有効であることが言える.