連立方程式の新しい反復解法と適応信号処理への応用に関する考察

古川 利博  前田 恒憲  久保田 一  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J78-A   No.2   pp.214-226
発行日: 1995/02/25
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 特集論文 (インテリジェント信号処理論文特集)
専門分野: 適応信号処理
キーワード: 
連立1次方程式,  近似解精度,  共役こう配法,  直交射影演算,  

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あらまし: 
工学の各分野において,連立1次方程式の解法は非常に重要な役割を果たしており,これまでにも各種の数値解法が報告されている.特に適応信号処理・適応制御の分野では,(準)正定値対称である係数行列を有する連立方程式が処理の対象となることが多い.このような方程式を解く一手法として,共役こう配法が知られている.これは係数行列の階数をRとすると,ある一定の手順をR回繰り返すことによって,上述の方程式の解を求める手法である.これによれば,演算時間の制約上などの理由で繰返し手順を途中で打ち切っても,ある程度の精度を有する近似解が得られる.しかしながら,この方法には近似解の精度に関して改善の余地が残されている.本論文では共役こう配法の反復計算過程を幾何学的に検討し,その結果に基づいて係数行列が対称である連立1次方程式の新しい反復解法を提案している.次いで,この手法に若干の修正を加え,その結果を適応フィルタのパラメータ推定に応用した適応アルゴリズムを導いている.これらの手法は,求めるべき解から1次元空間への直交射影演算に基礎をおいているため,途中で反復計算を打ち切った場合にも,共役こう配法あるいはそれに基づいた適応アルゴリズムと比較して精度の高い近似解を得ることができると期待される.本論文で提案する手法はその性質上,係数行列が悪条件である場合に効果を発揮し,信号処理・制御分野への適用が有効である.