入力パターンのばらつき推定による手書き文字認識の新手法

孫 寧  郭 軍  根元 義章  佐藤 利三郎  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J77-D2   No.1   pp.79-90
発行日: 1994/01/25
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Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: 画像・パターン処理
キーワード: 
手書き文字認識,  整形変換,  改良型双偏差付きシティブロック距離,  入力のばらつき,  標準偏差,  

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あらまし: 
手書き文字認識においては,筆記者による文字のばらつきにいかに対処するかが重要な課題である.これまでは標準パターンを作成する段階において統計的な手法を用いて学習用サンプルから各字種のばらつきを計算し,これを距離計算に利用し,ばらつきの影響を軽減する手法がとられている.一方,入力文字の統計的性質を計算することは不可能とされている.その理由は,入力文字が1個しかないからである.しかし,現実的に入力文字もその字種固有の統計的性質に従って現れる.認識という距離(類似度)計算の過程において,入力パターンと標準パターンの各カテゴリーが互いに多次元空間上に分布しているため,入力文字のばらつきも標準パターン中の各カテゴリーのばらつきと同様に認識精度に影響を及ぼすものと考えられる.もし何らかの方法で入力パターンのばらつきを予測し,認識する際に,予測したばらつきをあらかじめ学習サンプルから求めたものと同時に用いれば,より高い認識率が期待できる.このような考えに基づき,筆者らは,文献(1)において,入力パターンおよび標準パターンのばらつきを同時に考慮した双偏差付きシティブロック距離の基本概念を提案した.初歩的な実験では,双偏差付きシティブロック距離を利用することが認識精度を高めることに有用であることが明らかになった.本論文では,双偏差付きシティブロック距離の有用性を更に明確にし,より高い認識率を得る改良型双偏差付きシティブロック距離を提案している.具体的には,双偏差付きシティブロック距離の性質を明らかにする.次いで,双偏差付きシティブロック距離を用いる際に必要な入力パターンのばらつきの推定方法の妥当性を検証する.更に,文献(1)で提案した距離尺度に対し,改良を行い,新たに改良型双偏差付きシティブロック距離を提案する.提案する改良型双偏差付きシティブロック距離の有用性を認識するため,データベースETL9Bを対象に認識実験を行い,実験結果として,平均1位認識率が改良前の結果に比べ,更に0.3%上昇し,全平均では96.62%に到達できることを示す.