ウミウシ視細胞における古典的条件付け連合学習メカニズム

池野 英利  臼井 支朗  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J76-D2   No.11   pp.2427-2435
発行日: 1993/11/25
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DOI: 
Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
イオン電流モデル,  連合学習,  細胞内カルシウム,  エムラミノウミウシ,  Hodgkin-Huxleyモデル,  

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あらまし: 
エムラミノウミウシ(Hermissenda Crassicornis)は,光を条件刺激,回転を無条件刺激とする古典的条件付けによって,連合学習を獲得することが知られている.この学習を反映した神経細胞の特性変化としては,視細胞におけるK+,Ca2+イオン電流の減少,光応答振幅の増大および光刺激終了後の脱分極状態の持続(LLD:Long Lasting Deporalization)などが観測されている.本論文では,学習獲得による光応答変化のメカニズムを,生理実験で得られた知見に基づく細胞モデルによって解析した.その結果,LLDはK+電流の減少では起こらず,光刺激終了時における細胞内Ca2+濃度変化の時定数に依存して発生することを明らかにした.更に,学習の獲得を前庭系有毛細胞からの伝達物質受容量,視細胞内のCa2+濃度上昇とその時間的変化の積に従うと仮定することにより,実験結果に近い刺激間隔依存特性が得られた.これらの結果は,Ca2+濃度とそのダイナミックスが,ウミウシ視細胞における連合学習の獲得および学習後の光応答を決定づけることを示すものである.