大脳皮質の平面展開による統合的構造可視化シミュレーション

佐分利 眞久  田村 佳彦  梶 真寿  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J75-D2   No.9   pp.1606-1614
発行日: 1992/09/25
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DOI: 
Print ISSN: 0915-1923
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
生体計測,  電極刺入計画,  脳形態機能地図,  可視化シミュレーション,  

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あらまし: 
高等脊椎動物の大脳皮質は,外部の表面から見えない多くのしわのある3次元組織構造を形成している.このような脳に対して,直接観察できない溝内部の領野間の機能的相互関係,電極刺入経路を含む異なった脳切断面内での電極記録位置,それに,広範囲に分布するニューロン群の神経結合関係などをわかりやすく描画する技術が望まれている.本論文は,そのための3次元大脳皮質構造の計算機による近似平面展開技術の開発と,神経生理学的研究におけるその適用結果について記述したものである.複雑な脳表面を面積と形状を保存した状態で正確に平面展開することは不可能である.そのために,本論文の「断層間平行平面展開法」は,面積と形状の保存精度をある程度犠牲にして,むしろ大脳皮質での領野間の空間的位置関係を容易に把握できることを重点に置いて開発しているのが特徴である.更に,局所的な脳部分領野を対象として,形状が保存された平面展開図を生成するために,三角形面要素法による断層図譜間のサーフェスモデルを構築して平面展開し,脳表面の大域的平面展開図と,局所的領野の形状保存平面展開図とを統合的に参照しながら,脳の実体構造の理解をより高める処理を施している.これらの技術は,今後,脳の進化過程の研究や脳疾患の診断などの支援技術としても,大いに利用されることが期待される.