ACE-DEMO―新コヒーレント復調方式―

大澤 智喜  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J73-B2   No.12   pp.819-826
発行日: 1990/12/25
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Print ISSN: 0915-1877
論文種別: 論文
専門分野: 無線通信
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あらまし: 
本論文は全く新しい観点に立ち,適応フィルタ技術(Adaptive Line Enhancer;ALE)を用いた位相変調信号の同期検波方式(Adaptive Carrier Estimation DEMOdulator;ACE-DEMO)を提案する.ALEはFIRフィルタで構成されるセルフチューニングフィルタの一種であり,搬送波抽出フィルタの中心周波数と帯域幅を適応的に制御して狭帯域の帯域フィルタを形成し,搬送波信号を抽出するものである.同期検波の常識である位相同期系と本方式が根本的に異なる点は,位相同期系は形の制御ループ帯域により搬送波抽出フィルタ帯域が一意に設定されてしまうが,本方式は制御ループ帯域とフィルタ帯域が基本的に独立して設定でき,全体として1次の制御系で構成される周波数推定器と考えられることである.解析とコンピュータシミュレーションの結果,この違いによる差は同時引込み特性に顕著に現れ,ACE-DEMOは低C/Nにおいても広帯域の引込み範囲と短時間での同期確立を同期に実現することが証明された.更に,ACE-DEMOはマルチパスフェージング等の位相雑音にも帯域幅を適応的に制御して追従することから,位相雑音,シャドウイング等多くの面で優れた性能を持つ復調方式である.移動体衛星通信のような高能率の誤り訂正機能を付加した低レート時変チャネル通信で問題となる高速フェージング,低C/N運用かつ伝送レートに対して搬送波周波数オフセットが相対的に大きくなるようなシステムで非常に威力を発揮する.