弾性負荷条件下で等速度運動する筋の粘弾性変化

加藤 厚生  伊藤 晋彦  三田 勝己  伊藤 宏司  林 良一  伊藤 正美  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J73-A   No.6   pp.1159-1166
発行日: 1990/06/25
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: 教育工学,人間工学,医用生体工学
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あらまし: 
「ヒト四肢の柔軟で安定な運動は,関節屈曲運動中の筋が粘弾性係数を変える事によって実現される」.この一見当然とも思われる仮説も,運動中のヒトの生体筋では実証されていない.とりわけ粘性係数の変化については不明である.われわれは環境に対応する筋の粘弾性変化の有無を調べる目的で,位置変化とともに力も同時に変える等速度トラッキング実験を行った.実験は前腕を固定された被験者に手関節の屈曲運動で弾性係数可変クランクを操作してランプ視標を追跡させる運動として行った.手関節の回転中心とクランクの回転中心は一致させた.その結果,筋活動を増加するとトラッキング安定性が変化した.6~9Hzに現われる振動の周波数は関節トルクに対して強い線形相関を示した.1Hz付近に現れるピークの周波数には,関節トルク依存性,視標に関する位置依存性ならびに偏差依存性は明確には認められなかった.から,神経筋系による力制御系は中枢の支配を受け,関節トルクに応じて筋粘弾性を変化するパラメータ調節系であると結論した.またから,視覚系を含む運動(位置と速度)制御系については,関節トルク,目標角度ならびに偏差に対してパラメータ調節系となる確証は得られなかった.