話者認識における話者数と認識率の信頼性との関係

野田 秀樹  長内 隆  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J73-A   No.4   pp.717-724
発行日: 1990/04/25
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Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: 音声
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あらまし: 
法科学分野で自動話者照合を行うに際して,信頼に足る照合率や判定のしきい値を得るためには,事前にどの程度の話者数を用いた照合実験を行っておけばよいかが問題となる.また,話者識別では,話者数と識別率とその信頼性との関係を明らかにしておく必要がある.本論文において,このような話者数と認識結果の信頼性との関係を,シミュレーションによって調べた.その結果,話者数の増加と共に,用いる話者によるばらつきは減少し,得られる認識率の信頼性は向上することがわかった.話者数500名でのばらつきの標準偏差は,判定のしきい値のずれを考慮した場合の照合率が約1.3%,識別率は約1.0%であった.次に,話者認識技術の法科学的利用の可能性を検証するため,成人男性523名による大規模話者認識実験を行った.5単語,2サンプル使用で,重み付きLPCケプストラム距離を用いて,照合率96.6%,1位識別率89.5%,5%識別率(523名の上位5%の候補を選ぶ場合)98.7%が得られた.これらの結果から,テキスト依存形で行えれば,現在の話者認識技術は,法科学分野の話者照合や容疑者の絞込みの手段として利用可能なレベルであると考えられる.