全根同時反復型解法のための初期分布選定法

長嶋 祐二  長嶋 秀世  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J71-A   No.3   pp.785-790
発行日: 1988/03/25
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Print ISSN: 0373-6091
論文種別: 論文
専門分野: 数値計算,数理計画法
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あらまし: 
本論文では,代数方程式の全根同時反復型解法に対する初期分布選定法について検討する.初期分布選定法にはAberthが提案した方法が有名である.筆者らは方程式の根の擬似的な標準偏差を用いた方法を報告した.この方法は,方程式の根の擬似偏差sが1より小さい範囲では,初期分布を与える半径の過小評価の割合が大きく,反復公式の計算過程で計算機のけたあふれを起こしやすいなど問題があり,検討課題となっていた.本論文では,s<1の範囲で方程式の頂点から根までの平均距離を定義し,その平均距離に擬似偏差を加えた値を初期半径とすることを提案する.次に,本手法の有効性を調べるため,sが1前後の数値例を中心にAberthの選定法との比較,検討を行った.この結果,従来の擬似偏差による方法では,s<1の範囲で全数値例の43.4%がけたあふれを起こしたが,本手法ではこれがすべて改善された.また本手法は,Aberthの方法の平均15倍の速さで初期分布を計算し,近似根を得るまでの平均総演算時間は,平均6割減少した.これらのことより,本手法の有効性が示された.