豆幼根における電気的パターンの形成と動的過程

林 健司
都甲 潔
山藤 馨

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J70-A    No.9    pp.1269-1274
発行日: 1987/09/25
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Print ISSN: 0373-6091
論文種別: 論文
専門分野: 非線形問題
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あらまし: 
豆の根の表面電位パターンの動的過程を多点同時測定装置を用いて調べた.この装置は根の表面近傍に等間隔で並べた多数本の電極にわたる測定を数秒で終えることができるように開発したもので,根の伸長に伴う電位パターン形成の諸特性を詳細に追うことができた.その結果,まず根は成長の際その表面に周期約2cm,振幅数mVの電位パターンを自発的に形成し,既に成熟した成長帯ではパターンはほとんど変わらないが,先端近くに位置する伸長帯ではパターンは大きく変わり,伸長と共に付加的に形成されることが明らかになった.また根全体にわたってパターンを乱さない程度の小振幅の自励発振が頻繁に現れ,その振動の位相は既長帯および最先端部においてほぼ同位相であるが,伸長帯でのみ位相がほぼ180度反転していることがわかった.振動の周期は約6分であるが,根の部域によってはその整数倍周期の12分,18分などの振動の混在を見ることができた.このような振動を伴った電位の空間パターンは根の細胞のイオンポンプの機能的自己組織化で作られており,非線型・非平衡開放系に特有の散逸構造であることが示唆された.