神経膜における臨界状態でのゆらぎの解析

浦浜 喜一
江崎 秀
山藤 馨

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J65-A    No.4    pp.386-393
発行日: 1982/04/25
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Print ISSN: 0373-6091
論文種別: 論文
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あらまし: 
最近イカ軸索を用いて松本により測定されたHopf分岐点近傍における膜電位ゆらぎに関する実験結果は,従来見出されていなかったきわめて特徴的な事実を含んでいる.本論文ではその実験結果の定性的な説明を行う事を目的として,BVP発振子の抵抗結合系に対し理論的な解析を行った結果について報告する.まず膜抵抗が減少してHopf分岐点に近づくに伴いしきい値が減少することを示す.次にゆらぎに対する非線形性の影響を調べ,逆分岐の場合は発振に至るまでの過程は線形近似の範囲で充分議論できることを確かめた上で,ゆらぎの非可逆的循環とスペクトルの解析を行う.さらにn個の発振子の抵抗結合系においては,結合が強くなるとゆらぎは1/nに減少することを示す.これらの結果に基き,膜抵抗と結合抵抗が同時に減少して発振するという機構を仮定すれば,得られた計算結果はパラメータの値を適当に選べばスペクトル変化の実験結果を定性的に説明する.また空間的コヒーレンス関数も実験結果と定性的に一致する.これらの事実は,チャンネル間の空間的相互作用の強化により膜電位の発振が起こるという松本の仮説の間接的な裏付けを提供するものと思われる.