光ビーム伝送用多重しゃへい管の温度差減少について

末松 安晴  長嶋 秀世  江頭 虎夫  林 建一  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J54-B   No.6   pp.334-341
発行日: 1971/06/25
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Print ISSN: 0373-6105
論文種別: 論文・資料
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本論文は,しゃへい管を用いた光ビーム伝送実験を行ない,この際生じるしゃへい管上下の温度差によるビームの偏位を減少させるために,光ビーム用多重しゃへい管の管内上下の温度差減少効果の理論的検討と,これに伴う実験を行なった.温度差減少効果の理論的検討に対しては,熱放射を考慮した熱的に導体層と断熱層の組合せによる二重しゃへい管を考え,さらに,多重しゃへい管および二重しゃへい管を断熱材でおおったときの温度こう配減少係数を最適にする設計の理論的検討を行なった.また,最適設計では,導体層と断熱層の構成法および使用材料の経済性について検討した.理論式をたしかめるための温度差減少効果の実験としては,上方より赤外線ランプ列で加熱したときの一重しゃへい管の上下の温度差および中間を各種断熱材とする二重しゃへい管の外管および内管上下の温度差を定常状態までの時定数も含めて測定した.光ビーム伝送の予備的な実験としては,レーザ光をビルの屋上から35cm離れたところのしゃへい管内を伝搬させ,直射日光のもとにおける最悪条件で,管内を1気圧および減圧した場合,断熱材で管をおおった場合のそれぞれについて受信側のビーム変動の測定を導波系の1区間に相当する70mで行なった.断熱材をおおった管内1気圧のしゃへい管では,厚さ5cmの発ぽうポリスチロールを用いた時,断熱材がない時と比較して管内上下の温度差が約1/50程度に減少し,70m先でのビーム偏位の最大は約1mm程度となった.これは管内減圧の実験から,管内気圧が25mmHgに相当する値であった.これらの結果より,最外層の温度こう配に対して多重しゃへい管を用いればビーム伝送空間の温度こう配を10-3~10-5程度にすることが可能であり,しゃへい管を地下に埋設することなく,管内を減圧することなく光ビーム伝送を行なうことも可能と思われる.