ラット海馬スライスにおけるβ周波数帯電気刺激のてんかん様発火の抑制

澤田 豊宏
重本 昌也
夏目 季代久

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J104-D    No.4    pp.427-433
発行日: 2021/04/01
早期公開日: 2020/12/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2020PDP0055
論文種別: 特集論文 (学生論文特集)
専門分野: 生体工学
キーワード: 
β周波数帯電気刺激,  てんかん,  海馬,  アデノシン受容体,  

本文: PDF(7.1MB)>>
論文を購入



あらまし: 
てんかんは通常薬物治療が可能であるが15%程は薬物治療効果がない難治性である.そのような難治性患者には脳深部刺激などの電気刺激による治療法が用いられる.その刺激のパターンとして通常連続刺激が用いられる.しかし連続刺激はエネルギー効率が悪い.最近連続刺激の代わりにθバースト刺激が用いられるが,この刺激はシナプス可塑性を誘導し脳神経回路に可塑的変化をもたらす.私たちの先行研究ではアセチルコリン受容体作動薬であるカルバコール(CCh)をラット海馬スライスに投与するとβ周波数帯を含むバースト振動(CIBO)が間欠的に誘導され,そのCIBO発生中にはてんかん波が抑制された.そこで本研究ではあらかじめGABAA受容体を阻害薬によって誘導されたてんかん様発火に,CIBOの発生パラメータをもとにした間欠的なβ周波数帯の電気刺激を行った所,てんかん様発火は抑制された.神経調節物質の一種であるアデノシン受容体であるCaffeineを投与し電気刺激するとてんかん波は抑制されなかった.またβ周波数帯電気刺激の刺激インターバルを延長してもてんかん様発火の抑制効果は見られなかった.以上の結果は,間欠的なβ周波数帯電気刺激によりアデノシン受容体が活性化され,てんかん波抑制効果がある事が示唆された.間欠的なβ周波数帯電気刺激はてんかん波電気刺激治療の新しい候補になると思われる.