伝送零点位置が可変なFIRフィルタによる有限次数ヒルベルト変換器を用いた瞬時周波数推定の高精度化

高尾 圭祐  名取 隆廣  相川 直幸  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J104-A   No.11   pp.233-240
発行日: 2021/11/01
早期公開日: 2021/06/15
Online ISSN: 1881-0195
DOI: 10.14923/transfunj.2021JAP1001
論文種別: 論文
専門分野: ディジタル信号処理
キーワード: 
周波数推定,  瞬時周波数,  ヒルベルト変換器,  可変フィルタ,  

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あらまし: 
単一正弦波信号の周波数推定は幅広い分野で研究されてきた問題である.その一つの手法として,瞬時周波数を用いるものが挙げられる.この手法ではヒルベルト変換器を用いて解析信号と呼ばれる複素信号を生成し,この解析信号の瞬時位相を時間微分することで瞬時周波数を求める.そのため,サンプルごとに周波数の推定値を出力することができ,周波数の時間変化が計測可能となる.しかし,有限次数で設計されたヒルベルト変換器は振幅にリプルが生じるため,推定された瞬時周波数は真の周波数以外にリプルに依存する振動成分が含まれる.ヒルベルト変換器の次数を増やすことでリプルを小さくし,この振動成分は抑制することが可能であるが,次数の増加は遅延時間の増大,回路規模の増加を伴うため問題となる.そこで本論文では,振動成分の周波数が入力周波数の偶数倍で有ることを理論的に示し,これを除去するための伝送零点を有する可変FIRフィルタを設計する.設計された可変フィルタを用いて振動成分を除去することで,低次数なヒルベルト変換器を用いても,単一正弦波の高精度な瞬時周波数推定が可能となることを示す.