時間依存型共変量を伴う生存データ解析へのリカレントニューラルネットワークの応用

辻谷 将明  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J102-D   No.8   pp.575-584
発行日: 2019/08/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2019JDP7001
論文種別: 論文
専門分野: バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング
キーワード: 
ディープラーニング,  フィードフォワードニューラルネッワーク,  Coxの比例ハザードモデル,  SVM,  逸脱度,  ブートストラップ法,  PBCデータ,  肝硬変データ,  条件付き生存確率,  

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あらまし: 
生存データ解析では,観測開始時点で記録される共変量の値が,目標事象発生(打切りあるいは死亡)まで一定であるとし,Coxの比例ハザードモデルが広範に活用されてきた.しかし,患者は観測期間中モニタリングされ,目標事象までに種々の観測時点の検査値などが記録される.本論文では,共変量の値が時間に依存して変化するPBC (原発性胆汁性肝硬変)データを取上げる.観測時点ごとに変化する共変量の直前の時系列情報を取込むため,ディープラーニング(Deep Learning)の一種であるリカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network; RNN)を採用する.これは,従来のフィードフォワードニューラルネットワーク(Feed-Forward Neural Network; FFNN)に帰還路を設けたモデルである.モデル構築のため,リサンプリング法の一つであるブートストラップ法を援用し,最適な隠れユニット数の決定,影響分析を用いた外れ値の検出,モデル改善の検証,及びモデルの適合度検定などを目途とする.FFNN,部分ロジスティックモデル,Coxの比例ハザードモデル,及びサポートベクターマシン(Support Vector Machine; SVM)に比べてRNNは,肝移植を念頭においた観測時点における半年後条件付き生存確率を的確に予測できる.更に,肝硬変データを解析し,生存確率を予測する.共変量である腹水の有無と生存確率との関連性,及び薬剤(プレドニゾン)が腹水のない女性に有効であることを視覚的に明示する.