対話音声合成の表現力向上に向けた文末音調の制御による付加的なニュアンスの表現に関する実験的検討

岩田 和彦  小林 哲則  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J102-D   No.6   pp.442-453
発行日: 2019/06/01
Online ISSN: 1881-0225
DOI: 10.14923/transinfj.2018JDP7055
論文種別: 論文
専門分野: 音声,聴覚
キーワード: 
音声合成,  文末音調,  発話意図,  ニュアンス,  対話音声,  

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あらまし: 
先に提案した文末音調の制御によって意図を伝える音声合成手法の表現の幅を広げることを目的として,話し手の様々な心情が表出されることで生じる付加的なニュアンスの違いに着目し,文末音調でニュアンスを表現する手法の実現可能性の検証に取り組んだ.一般に話し手は文末音調以外にも様々な音響特徴を変化させて意図を表現しているのに対して,様々な文末音調を付与した合成音声の聴取実験による検証の結果,聞き手には文末音調が違うだけでも異なるニュアンスが伝わることを確認した.従来の分類では同じ音調として扱われる文末の基本周波数(F0)形状の中には,F0の動きが微妙に異なり,伝わるニュアンスに違いが見られる様々なバリエーションがあることも具体的に明らかになった.これらの結果は文末音調がもつ表現力の高さを裏付けるものであり,主たる意図だけでなく言外の意図ともいうべきニュアンスについても,文末音調の制御による表現が可能であることが確認できた.文末音調の分類を従来よりも細分化し,それぞれによって伝わる意図やニュアンスを明らかにしていくことで,対話音声合成における表現の幅を広げていけることが示された.