回転変換のリフティング方向に着目した整数DCTの低感度構成法

外村 喜秀  大西 昌宏  岩橋 政宏  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J91-A   No.3   pp.339-348
発行日: 2008/03/01
Online ISSN: 1881-0195
Print ISSN: 0913-5707
論文種別: 論文
専門分野: ディジタル信号処理
キーワード: 
画像符号化,  整数DCT,  可逆圧縮,  係数感度,  リフティング構成,  

本文: PDF(597.3KB)
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あらまし: 
画像符号化の国際標準規格であるMPEGやJPEG等では離散コサイン変換(DCT)を用いて,有色信号である画像信号を無相関化することにより符号化効率を高めている.この際用いられるDCTは出力信号が実数値であるためにエントロピー符号化に先立ち量子化が不可欠であり非可逆圧縮となる.これに対して,ラウンディング器を内包したリフティング構成されたDCT(整数DCT)は出力信号が整数値であるために直接エントロピー符号化することができるため可逆圧縮に適しており,可逆-非可逆統合符号化の一手法として注目されている.近年,国際標準規格で用いられているDCTと整数DCTの互換性を保つため,整数DCTに含まれる整数回転変換(IRT:Integer Rotation Transform)中の乗算器係数に対する有限語長化の影響が報告されている.しかし,これらの報告ではIRTのリフティング方向は1方向に限られている.これに対し,本論文では画像信号のような有色信号を対象とした場合,IRTのリフティング方向が乗算器係数を有限語長化した場合に異なる影響を与えることに着目する.そして,この影響を理論的に解析し,IRTごとに最適な方向を決定することで,有限語長化の影響が小さい低感度な整数DCT回路の構成法を提案する.実験により,新たに構成された整数DCT回路は同数の平均ビット長を割り当てた従来の回路と比較してPSNR評価で1.5 [dB]ほど画質の劣化を抑えられることを確認した.