専門家と素人が存在する場合の組合せオークション―専門家が単一財にのみ専門知識をもつ場合―

伊藤 孝行  横尾 真  松原 繁夫  

誌名
電子情報通信学会論文誌 D   Vol.J87-D1   No.10   pp.920-930
発行日: 2004/10/01
Online ISSN: 
DOI: 
Print ISSN: 0915-1915
論文種別: 論文
専門分野: 分散協調とエージェント
キーワード: 
組合せオークション,  メカニズムデザイン,  非対称情報,  マルチエージェント,  

本文: PDF(229.4KB)
>>論文を購入


あらまし: 
インターネット上のオークションでは,不特定多数の人間が商品(財)を販売しており,商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば,骨董品が売られていたとしても,その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.商品の質が正確に見極められないことによって,商品の質に関する素人が,商品の質に見合わない価格で商品を購入してしまうという問題がある.そこで筆者らは過去に,買い手が財の質(例えば本物か偽物か)について正確に判断ができない場合に,条件付きの入札が可能なオークションプロトコルを提案した.ここでは,専門家に,自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって,合理的なプレイヤが損害を被らないようなオークションプロトコルの設計した.本論文では,上記のような状況において,複数財の組合せに対して入札が可能なオークションを設計する.ここで,専門家が単一の財に関して専門知識をもつ場合と複数の財に専門知識をもつ場合が考えられる.前者の場合でも複雑な問題であるが,後者はより複雑な問題になっている.そこで,本論文では,まず単一の財に関して,専門知識と興味をもつ専門家に商品の質に関する情報を正しく申告させ,素人にとって,真の申告をすることが最適反応戦略になるプロトコルを設計する.本オークションプロトコルの特長は,以下の四つである.(1)専門家にとって,真の申告をすることが支配戦略である.(2)素人にとって,他の素人がどのような申告をするかにかかわらず,専門家が支配戦略をとると仮定した上で真の申告をすることが最良の戦略となる.(3)パレート効率的な割当を実現する.(4)非合理的なプレイヤが存在したとしても,その数が1人ならば,合理的なプレイヤの効用が負になることはない.