高圧環境で発声された音声の性質

中津井 護  鈴木 誠史  高杉 敏男  田中 良二  

誌名
電子情報通信学会論文誌 A   Vol.J57-A   No.3   pp.200-207
発行日: 1974/03/25
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Print ISSN: 0373-6091
論文種別: 論文・資料
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あらまし: 
海中居住や深海潜水では,潜水者の安全と作業能率向上のために,音声による通信は不可欠であるが,現状はきわめて不満足である.特に,ヘリウムを主成分とした呼吸ガスの使用は,高圧下で生じる生理的障害をほぼ解決したが,「ヘリウム音声」の問題,すなわち音声の了解性の著しい劣化を引き起こした.ヘリウムや圧力によるひずみの解明や了解性改善の試みがかなり報告されているが,ひずみのうち音速の上昇に比例した音声スペクトル帯域の拡大を了解性低下の主な原因とする点を除けば,見解がまちまちであり,ひずみの改善にも十分な成果をあげていない.日本の海中居住実験(シートピア計画)の一環として行われた一連の模擬潜水実験に参加し,高圧下の音声をかなり系統的に収録する機会を得た.これらの音声について,言語としての情報に深い関係のある音響パラメータの測定や,日本語単音節の明りょう度試験を行って正常音声と比較する.また,圧力やガス組成とひずみとの関係を,音声の生成過程に立脚した見地で検討し,統一見解を示す.さらに,それを基に復元装置の設計にあたって考慮すべきことがらについて考察する.