ガウス分布とポアソン分布を利用した計算量が低コストな屋内位置推定手法

高部 魁  相河 聡  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J102-B   No.1   pp.35-41
発行日: 2019/01/01
Online ISSN: 1881-0209
DOI: 10.14923/transcomj.2017JBL4019
論文種別: レター
専門分野: 
キーワード: 
無線LAN,  屋内位置推定,  アプリケーション開発,  FingerPrint,  スマートフォン,  

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あらまし: 
屋内位置推定アプリケーションは,商業施設などで需要は高い.現在,屋内商業施設には,多数の無線LANアクセスポイント(AP)が設置されている.また,ネットワークに接続していなくともAPからの受信電波強度(RSSI)を観測することができる.本論文では,APが多く普及している商業施設における無線LANによる屋内位置推定を検討する.位置推定対象となるスマートフォンを信号取得端末(ユーザ端末)とし,APからのRSSIを取得することにより位置推定を行う.導入対象となる商業施設エリアは,シャドーイングやマルチパスフェージングの影響を無視できない.また,APは各店舗が自由に設置しているため,設置場所も既知ではない.Laterationのように,RSSIからの距離を求める方式では遮蔽物による減衰が影響する.このため,商業施設ではFingerPrintが有効である.求められる位置推定精度は,1店舗の大きさである4〜10mとなる.商業施設内でデータ測定を行った後,その場ですぐに位置推定可能となることが求められている.このためデータベース作成,データ加工に時間をかけることができない.これに対して,ベイズ推定を用いたアルゴリズムでは,データベース作成に時間を要する.商業施設でデータベースを作成する際,観測されたAPの電波分布はガウス分布に従うことが知られている.これを利用し少ない観測データからデータベースを補間することができる.本論文では,このガウス分布をAPごとの信頼度と定義して位置推定を行うAP信頼度合算法を提案した.一方,屋内位置推定を行う際に,RSSIが小さく観測できる回数の少ないAPが原因で誤った位置に推定されることがある.これらに対して本論文では,ポアソン分布を利用して,観測回数に基づいてAP信頼度に重みづけすることで位置推定精度を向上する手法を提案する.以上に述べた低コストで実現できる位置推定に関する二つの提案手法を商業施設における実験により検証し,データベース作成に必要となる時間の削減と精度向上を確認した.