広帯域誘電分光を用いた多成分系水溶液中のグルコースの定量分析

中村 昌人  田島 卓郎  瀬山 倫子  

誌名
電子情報通信学会論文誌 C   Vol.J101-C   No.6   pp.258-265
公開日: 2018/05/11
Online ISSN: 1881-0217
DOI: 
論文種別: 招待論文
専門分野: マイクロ波,ミリ波
キーワード: 
誘電分光,  誘電緩和,  多変量解析,  非侵襲測定,  複素誘電率測定,  

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あらまし: 
マイクロ波・ミリ波帯の複素誘電率は液体試料の配向緩和に対応しており,物質固有の誘電緩和特性が得られる.この誘電緩和特性の変化を溶液中の成分濃度の変化と対応づけることにより成分濃度の定量分析が可能となるため,非破壊・非侵襲センシングへの応用が期待される.本論文では,具体的なアプリケーションとして血液中のグルコースの定量分析に着目し,多成分系水溶液中での精度評価を実施したのでその分析結果を報告する.水溶液の誘電分光スペクトルはブロードなピークの重ねあわせとなっており,単一の周波数のみでの定量分析は多成分系での測定では定量精度が低下する.そこで,本論文では広帯域な誘電分光スペクトルに多変量解析手法の一つであるPLS回帰分析を適用することで定量精度の向上を図った.サンプル試料として血液を模擬した蛋白質-グルコース混合水溶液を用い,標準誤差58 mg/dL,検出限界178 mg/dLの定量精度を得た.人体の血糖値はおよそ70-200 mg/dLの範囲で変化しており,本結果はマイクロ波・ミリ波を用いた非侵襲血糖値センシングの可能性を示唆するものである.