劣モジュラ最適化を用いたミリ波無線LAN基地局のスリープ制御

江上 晃弘  西尾 理志  守倉 正博  山本 高至  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J101-B   No.5   pp.383-395
発行日: 2018/05/01
Online ISSN: 1881-0209
DOI: 10.14923/transcomj.2017MOP0010
論文種別: 特集論文 (IoT/5Gの進展を担うモバイルネットワークとアプリケーション論文特集)
専門分野: 
キーワード: 
ミリ波通信,  IEEE 802.11ad,  人体遮蔽,  スリープ制御,  劣モジュラ最適化,  

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あらまし: 
ミリ波通信を用いた無線LANでは一つの基地局の通信範囲が狭いため,基地局が密に配置された無線ネットワークの消費電力を削減する手法として,基地局の動的なスリープ制御が検討されている.しかし起動する基地局の選択は組み合わせ最適化問題となり,特に,消費電力の制約により起動できる基地局台数が制限される条件の下,目的関数を最大化する問題はナップサック問題でありNP困難である.本研究では,消費電力の制限下にミリ波無線LANシステムスループットを最大化する基地局の組み合わせを性能保証がある上で高速に導出することを目的として,劣モジュラ最適化の応用を検討する.本研究では消費電力に制約がある条件下で伝送レートの期待値の和を最大化する基地局選択問題が劣モジュラ最適化問題として定式化できることを証明した.これにより,高速に実行可能な貪欲法を用いて解いた場合でも近似度(1-e-1)の解を得られることが保証され,性能を保証しつつ動的に基地局のスリープ制御を行うことが可能となる.計算機シミュレーションにより,提案方式では実用的な時間で基地局選択が実行できること,また,端末1台あたりのトラヒックが非飽和である環境において,伝送レート期待値の和を最大化することでシステムスループットが向上することを示した.提案方式により,起動できる基地局の台数が93台中40台のときに,システムスループットはランダム方式と比べて15.8%,端末数優先方式と比べて12.3%向上することを示した.