通信スループット予測に基づく映像配信制御

吉田 裕志  笹島 和幸  村瀬 勉  里田 浩三  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J101-B   No.5   pp.320-337
発行日: 2018/05/01
Online ISSN: 1881-0209
DOI: 10.14923/transcomj.2017MOP0001
論文種別: 特集論文 (IoT/5Gの進展を担うモバイルネットワークとアプリケーション論文特集)
専門分野: 
キーワード: 
通信スループット予測,  映像配信,  レート制御,  ペーシング,  

本文: PDF(3.1MB)
>>論文を購入


あらまし: 
モバイルネットワークやインターネットなどのベストエフォート型ネットワークを経由した映像配信においては,二つの大きな課題が存在する.一つは,映像を視聴するユーザの体感品質というユーザ視点の課題である.ベストエフォート型ネットワークでは,電波状態や他のユーザの通信の影響で,通信スループットが安定しない.これが映像の途絶や再生遅延を引き起こし,ユーザの体感品質を低下させる原因となっている.二つ目の課題は,ネットワーク資源の利用効率というネットワーク事業者視点の課題である.映像は高精細化に伴いデータサイズが著しく増加している.このような大容量の映像データの配信は,ネットワーク資源を長時間専有することになり,これが特に無線資源の逼迫を深刻化させている.また,ユーザが途中で映像の視聴を中止したとき,再生バッファ内の映像データは破棄されることになる.この破棄したデータを転送するために利用したネットワーク資源が無駄になることも問題視されている.本論文では,通信スループット予測に基づいた適応レート制御とペーシングを組み合わせることにより,前述したユーザ視点とネットワーク事業者視点の二つの課題を解決する映像配信技術を提案する.体感品質については,通信スループットの確率的拡散予測を参照し,再生途絶が発生しない範囲で最大の映像ビットレートを選択することで,ITU-Tが勧告している体感品質指標(1 〜 5の指標)を既存手法と比較して平均0.75改善できることを実証した.更に,ネットワーク資源の利用効率については,提案手法はペーシングによるネットワーク資源の開放時間を既存手法よりも大幅に改善することができた.一方,提案手法の再生バッファ量は,既存手法よりも2 〜 3 MB大きくなったが,これは高い体感品質を維持するために必要と予測された増加量である.