グラフェンを基盤としたバイオセンシング―Lab on a graphene―

小野 尭生  金井 康  奥田 聡志  大野 恭秀  前橋 兼三  井上 恒一  松本 和彦  

誌名
電子情報通信学会論文誌 C   Vol.J100-C   No.11   pp.528-536
公開日: 2017/10/11
Online ISSN: 1881-0217
論文種別: 招待論文
専門分野: 有機エレクトロニクス
キーワード: 
グラフェン,  電界効果トランジスタ,  バイオセンシング,  インフルエンザ,  

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あらまし: 
グラフェンは,極めて高い移動度をはじめとしたユニークな物性をもつ二次元材料であり,表面電荷をもつ生体分子等の結合に対して鋭敏な電気的応答を示す.我々はこの性質を利用したバイオセンサ“Lab on a graphene”の研究を進めている.グラフェンをチャネルとした電界効果トランジスタの表面をDNA,アプタマーや抗体,糖鎖など,ターゲットに対して結合親和性をもつレセプター分子で修飾(機能化)することによって,ターゲット分子をサブnMの高感度で,迅速かつラベルフリーに検出できた.このような特性は,ポータブルなシステムを用いたオンサイト医療診断に適している.現在,ヒト感染性に変異した高病原性鳥インフルエンザウイルスの発生とその世界規模の流行が危惧されているが,我々は変異ウイルスを空港等でオンサイト検出し,流行を阻止するためのウイルス検出デバイスの開発を進めている.これまでに,疑似ウイルスであるレクチンを用いて,鳥ないしヒトに対する感染性を150 pM以下の低濃度で鑑別することに成功している.また,他のデバイス構造との複合化によるバイオセンサの多機能化も行っており,表面弾性波デバイスとの複合化によるワイヤレス給電についても紹介する.