移動通信における信号処理アンテナの進展

小川 恭孝  西村 寿彦  大鐘 武雄  

誌名
電子情報通信学会論文誌 B   Vol.J100-B   No.9   pp.658-672
発行日: 2017/09/01
Online ISSN: 1881-0209
論文種別: 招待論文 (100周年記念招待論文特集)
専門分野: 
キーワード: 
アダプティブアンテナ,  MIMOシステム,  空間フィルタリング,  多重波伝搬,  空間多重,  

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あらまし: 
アダプティブアンテナ,及び,その発展型と考えられるMIMOシステムは,指向性の制御や空間多重のような空間領域における信号処理を可能とすることから,信号処理アンテナと呼ばれている.本論文では,移動通信をターゲットとした信号処理アンテナの研究の概要を述べる.まず,アダプティブアンテナによる多重伝搬波の抑圧と空間分割多元接続を紹介する.次に,MIMOシステムの基本原理,それを用いた空間多重とフェージング特性,MIMOチャネルの予測に関する研究概要を明らかにする.第5世代以降の移動通信においては,極めて大容量の情報伝送が必須とされ,それを実現するキーテクノロジーとしてミリ波帯の利用が検討されている.このような高周波数帯における伝搬損失などの問題を解決するため,極めて多数のアンテナ素子を有するMassive MIMOシステムの研究が鋭意なされており,本論文では,その研究概要を紹介する.また,Massive MIMOシステムのフルディジタル処理に必要となる演算量を削減することを可能とする確率伝搬法について説明する.最後に,将来の信号処理アンテナの研究を行うに当たり,アンテナ,システム,伝搬の三領域の総合的な考察が必要であることを論じる.